GrWin のご紹介

GrWin は Windows システム上(注1)で利用できる Fortran と C /C++ のためのフリー(注2)な可視化ツールです。シミュレーションや数値計算などの導入教育や科学技術計算で必要となる数値データの可視化,さらに教育現場での教材作成などを想定して開発されていて,高品位な印刷ができることから出版用原図の作成などへの利用も考えられます。

GrWin の開発コンセプトを一言で表現すれば

「グラフィクス・プログラミングの大衆化」

です。

現在非常に高性能・高機能な可視化ツールは数多く存在します。しかし、それらのすべてはプログラミングの専門家にとってはもはや常識のオブジェクト指向のプログラミング・スタイルを採用していて、可視化だけを目的として習得するにはどれも計算機科学を専門としない多くの「素人」(含,他分野の学生,研究者)にとって敷居が高すぎます。かといって,最近のパーソナルコンピュータの高性能を活かす手段がゲーム以外にほとんど存在しないという状況も情けなく,コンピュータは他の家電製品(含,ゲーム機)と違って「プログラム可能」であることを思い出してもらいたいというのが,このような「素人」のためのグラフィクス・プログラミング環境開発の動機の一つです。

「素人」のため…、といっても機能が低かったり、結果を何らかの形で残すことができなければ教育・研究の現場では実用になりません。GrWinでは、ちらつきのないアニメーションや,マウスやキーボードさらに時間割り込みなどのイベント状態の取得も 可能ですし、高品位印刷が可能な高度な印刷機能, クリップボードや拡張メタファイルを使ったグラフィクス出力結果の文書への張り込み,さらに, EPS(Encapsulated PostScript)ファイル出力機能を用いた本格的な出版用原図の作成なども可能です。

本システムは Windows 上のグラフィクス・エンジン(サーバー)としての grwin.exe と,それをドライブするためのツールキット(含、各種開発環境用のビルド済ライブラリ・ファイル)からなっていて,専門知識を必要とするWindows プログラミングに関わる諸々のほとんどはグラフィクス・サーバー( grwin.exe ) 内部に隠蔽されてしまうため,ユーザーは個人向けパソコン黎明期の Turbo C や Quick C ,BASIC でプログラミングする感覚,言い換えれば,手にペンや筆を持って動かす感覚で Windows 上のグラフィクス・プログラミングを行うことができます。

さまざまなアイデアをもっていてもグラフィクス・プログラミングの壁に突き当たってしまった人たち,あるいは,Win32API や 可視化を目的としたオブジェクト指向プログラミング の勉強をする時間がない(したくない ^^;)人たちが,本システムの想定しているユーザーです。

したがって,既存の環境下ですでにグラフィクス・プログラミングを行っている人,あるいはできる人にとってはあまりメリットはないと考えてください。


(注1)非商用の目的では全くフリーですが、商用目的の利用については制限があります。詳しくはホームページでご確認ください。

(注2)何故,Windows? UNIX 系はインストールとメンテナンスが「素人」にとって難しすぎるからです。 Mac? 触ったことがありません ^^;